『破獄』
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犯罪史上未曾有の四度の脱獄を実行した無期刑囚佐久間清太郎。その緻密な計画と大胆な行動力、超人的ともいえる手口を、戦中・戦後の混乱した時代背景に重ねて入念に追跡し、獄房で厳重な監視を受ける彼と、彼を閉じ込めた男たちの息詰る闘いを描破した力編。(カバーより)
この物語は、実際にあった事件をもとに小説化したもののようです。
いかに、戦中・戦後の混乱期とはいえ、四度も脱獄を実行する人というのは、物凄いです。
小説の描写から見るかぎりでは、当時の刑務所も、当然「ザル」であるはずがなく、(現代ほど機械に頼れないからこその)厳重な監視体制が敷かれていたようですが、その目をかいくぐって脱獄するのです。それが重なってくると、単に「逃げ出す」というよりも「捕まえた者をあざ笑う」という印象を受けてしまいます。
そんな彼が四度の脱獄を経て、どんな人生を送っていくのかということが小説で描かれているんですが、そのころの時代背景を併せて、色々と考えさせるものがありますね。(ちなみに、この脱獄事件をテーマとした、別の「ノンフィクション形式の本」も出ているようです。)
今や、これほどの脱獄事件が起こることは、きっとないと思われますので、そういう意味でも、スゴイ物語です。
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